「私の性格はむしろ男」という女性がときどきいる。普通に当たり障りなく会話している分にはよくわからないが、一緒に行動することがあれば、男らしさを感じる瞬間もあるのだろう。

それはさておき、王様文庫の里中李生シリーズは、どちらかというと女の子目線的な意味での「もてる男」のエッセンスが凝縮しているので、「性格、男」を目指している女性が読んでも、かなり楽しく読めると思う。そもそも王様文庫はどちらかというと女性向きというか、タッチが柔らかい。続刊には「もてる女(=かわいい女、だそうだ)」になるための本もある。

ネットでの評価をみると、評点は低いものの、感想ではなかなか好感を得ているようだ。すかっとした書きっぷりで、1つ1つのフレーズについて、共感できるかできないかを自分に問うことができるのが良いのかも。あわない人にはあわない。開けっぴろげで、思わせぶりなところや、暗喩めいたところがなく、読んでいて楽だ。背後には「仕事と恋愛をどのように両立させるか?」というテーマがあるような気がする。

要は気持ちの問題なんだけど、「恋愛をあきらめている男」だとかなり惨めになる場合、「女より仕事が大事」と自分に言い聞かせよう。腹筋を鍛えたり、幾つかの危機対応能力を身につけたりすることは、仕事にもいずれ役に立つ。

「ちょっと硬派なもてる男もてない男
(里中李生,三笠書房 王様文庫,ISBN4-8379-6152-5)