ネット師匠がブログで薦めていたので、ついつい本屋で買ってみたが、半分くらい流し読みしてみて、積ん読本になってしまいそうな予感がしてきた。
俗に自己啓発本と呼ばれるタイプのものは、書店に満ちあふれているし、相変わらず私はせっせと読んでいる。1つには読みやすいし、読むと元気になるようなことが書かれているからだ。ただこの本は、コンサルタントが普段道具として使うスキルを、それそのものだと表現が堅くなるので、自己啓発本っぽくアレンジしたスタイルの本である。人間関係の兵法であるとか、それから微妙にスピリチュアルっぽいことも書いてある。
沢山のことが書かれているが、本質的には、ある条件を決めて、その条件をクリアした人とだけおつきあいするということが、最近よく見かけるタイプの自己啓発本の基本的なセオリーだ。条件というよりは、目に見えない防衛線といっても良く、それは自分を中心にした円を描いている。あなたは私にとって、私の円の中の人ですか?――という論法。
さて、この本にはフォトリーディングという技法が解説されている。フォトリーディングの技法をもし使えるとすれば、相手がどういう円を張って身構えているのか、といったことも何とはなしに、視覚的に見えてくるだろうと思う。円の中に入るのにかかる労力があまりにも膨大であれば、わざわざ円の中に入る必要はないし、描かれた円のちょっとだけ外にはみ出している方が気楽でいい。
要するにたとえば、ちょっとだけ愚痴ってみたり、ちょっとだけ妬んでみたり、ちょっとだけ怒ってみたりするだけでも、勝間女史の描いた円の中からは外れていける(注.この手の意地悪は、相手が何らかの「兵法」を使っていることが明らかな場合に限って有効)。

自分で描いた円ならば、自分で外すこともできるだろうと思うのだが、円によって護られている以上、一度描いた円を外すのは勇気がいる。私も自覚せずに、円を描いているかも知れないし、それがいつしか自分の制約となっているのであれば、外さなければならないタイミングがあるかも知れない。

「起きていることはすべて正しい」
勝間和代ダイヤモンド社,ISBN978-4-478-00643-6)